MADDENING NOISE Memorandum
戦国無双&OROCHI中心二次創作文垂れ流し人の雑記帳
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えーと、ふと思いついて書きました。
切なめ、短文。
弱気な風魔ちゃん、強気な半蔵君。
両想いのはずなんだけど、失敗しちゃった風魔ちゃんのお話でござる。
切なめ、短文。
弱気な風魔ちゃん、強気な半蔵君。
両想いのはずなんだけど、失敗しちゃった風魔ちゃんのお話でござる。
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not found
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「うぬの顔など二度と見とうない、消え失せよ」
冷たく言い放たれた言葉に、目前の影は静かに頭を垂れ、何の言葉も発せずにそれきり姿を消した。
青白い薄い唇を、きり、と噛みしめて風魔は紅(くれない)の頭髪をひと振りし、先まで影の姿のあった座をじっと見つめていた。
薄い碧を湛えた玻璃質の瞳が、わずかな水気を帯びてゆらゆらと揺らめいて見える。瞳を縁取る深い緋色が、ふる、と震えているのは気のせいに違いない。幾百、幾千の命を容易(たやす)く葬り去る事の出来る逞しい腕が、禍々しい爪を履いた指先が何かを求める様にわなないているのも、野太い喉元から、絞り出すような嗚咽が漏れているのも、すべて、気のせいだ。
夜伽をせよと、戯れにそう云っただけであった。そして魔の命(めい)を断ることの許されぬ影でありながら、何の迷いもなく即座にそれを拒否された。それだけの事であった。
――たったそれだけの、こと。
わなないていた大きな手の平が、自然にきつく握りしめられる。ぎり、と爪が肉に食い込み嫌な音をたてた。
あの影と、共に夜を過ごした事がないわけではない。ただ共にあり、共に眠っただけではあったが、幾度かはそのような夜を過ごした事はあった。触れたいと思えば触れる事は出来たし、それ以上を望めば――望んだ事はなかったが――拒む道理がないようにも思われていた。
――それなのに、なぜ。
風魔の胸中に、理解の出来ぬ思いが溢れ、噛みしめられていた唇から、肉の切れる嫌な音がした。生ぬるい鉄の味が口中に広がる。握りしめた手の甲で、唇から流れる血を拭った。手に巻きつけている細いさらしが、血色に染まる。おのれの髪と同じ色だと思うと、人ならぬ魔であると自称するこの身がひどくばかばかしく思えて、小さく嗤った。
「どう、云えばよかったのだ」
とうとう思いは言葉になった。本当に云いたかった事は、失せよ、などと云う言葉ではない。本当は聞きたかったのだ。
「我が嫌か、半蔵」
くっ、と喉が鳴る。共に在りたい、それだけだった。常ならば、黙っていてもそれは叶った。それで良いと思っていればよかったのか――風魔は逡巡し、だがそれでは嫌だと思ったゆえに、言葉に出した。
――うぬに命ずる、今宵我の夜伽をせよ。
――断る。
なんの迷いもない即答であった。突然目の前が真っ暗になった気がした。次いで怒りが湧いて言葉を発した。
「どう、云えばよかったのだ」
風魔は再び小さく呟く。他に言葉を知らぬおのれが、初めてもどかしいと感じた。
首を振り、明かり取りの窓から見える陽を見つめた。闇になれた瞳には、傾き沈み始めた陽の光もやけに眩しく感じ、ぱちりと一度目を瞬いた。
すぅ、と頬を伝う生ぬるい筋を感じて、指先で触れてみた。たった一筋ではあったが、指先を濡らしたそれを、驚きと共に見つめる。
「どう、云えばよかったのだ」
三度(みたび)そう呟くと、わなわなと震えだす躯を両の腕で抱えるように、風魔は身を小さく縮こめた。
――二度と見とうない、消え失せよ。
そう云った以上、もう二度とあの影の顔を見る事はないかもしれぬ。胸に広がる後悔、不安、悔恨、痛み、それら全てを、抱え込んで、風魔はいつまでもおのれの体を抱きしめる事を止めなかった。
たったひとことが、みつからない。
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⇒end
半蔵さんは、ちょっと怒ったのだと思います。半コタでもコタ半でもこれはこの際どっちでもいいと思われw半蔵さんは、とにかく絶対「風魔の犬」にだけは、死んだってならない人だといいと思います。
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「うぬの顔など二度と見とうない、消え失せよ」
冷たく言い放たれた言葉に、目前の影は静かに頭を垂れ、何の言葉も発せずにそれきり姿を消した。
青白い薄い唇を、きり、と噛みしめて風魔は紅(くれない)の頭髪をひと振りし、先まで影の姿のあった座をじっと見つめていた。
薄い碧を湛えた玻璃質の瞳が、わずかな水気を帯びてゆらゆらと揺らめいて見える。瞳を縁取る深い緋色が、ふる、と震えているのは気のせいに違いない。幾百、幾千の命を容易(たやす)く葬り去る事の出来る逞しい腕が、禍々しい爪を履いた指先が何かを求める様にわなないているのも、野太い喉元から、絞り出すような嗚咽が漏れているのも、すべて、気のせいだ。
夜伽をせよと、戯れにそう云っただけであった。そして魔の命(めい)を断ることの許されぬ影でありながら、何の迷いもなく即座にそれを拒否された。それだけの事であった。
――たったそれだけの、こと。
わなないていた大きな手の平が、自然にきつく握りしめられる。ぎり、と爪が肉に食い込み嫌な音をたてた。
あの影と、共に夜を過ごした事がないわけではない。ただ共にあり、共に眠っただけではあったが、幾度かはそのような夜を過ごした事はあった。触れたいと思えば触れる事は出来たし、それ以上を望めば――望んだ事はなかったが――拒む道理がないようにも思われていた。
――それなのに、なぜ。
風魔の胸中に、理解の出来ぬ思いが溢れ、噛みしめられていた唇から、肉の切れる嫌な音がした。生ぬるい鉄の味が口中に広がる。握りしめた手の甲で、唇から流れる血を拭った。手に巻きつけている細いさらしが、血色に染まる。おのれの髪と同じ色だと思うと、人ならぬ魔であると自称するこの身がひどくばかばかしく思えて、小さく嗤った。
「どう、云えばよかったのだ」
とうとう思いは言葉になった。本当に云いたかった事は、失せよ、などと云う言葉ではない。本当は聞きたかったのだ。
「我が嫌か、半蔵」
くっ、と喉が鳴る。共に在りたい、それだけだった。常ならば、黙っていてもそれは叶った。それで良いと思っていればよかったのか――風魔は逡巡し、だがそれでは嫌だと思ったゆえに、言葉に出した。
――うぬに命ずる、今宵我の夜伽をせよ。
――断る。
なんの迷いもない即答であった。突然目の前が真っ暗になった気がした。次いで怒りが湧いて言葉を発した。
「どう、云えばよかったのだ」
風魔は再び小さく呟く。他に言葉を知らぬおのれが、初めてもどかしいと感じた。
首を振り、明かり取りの窓から見える陽を見つめた。闇になれた瞳には、傾き沈み始めた陽の光もやけに眩しく感じ、ぱちりと一度目を瞬いた。
すぅ、と頬を伝う生ぬるい筋を感じて、指先で触れてみた。たった一筋ではあったが、指先を濡らしたそれを、驚きと共に見つめる。
「どう、云えばよかったのだ」
三度(みたび)そう呟くと、わなわなと震えだす躯を両の腕で抱えるように、風魔は身を小さく縮こめた。
――二度と見とうない、消え失せよ。
そう云った以上、もう二度とあの影の顔を見る事はないかもしれぬ。胸に広がる後悔、不安、悔恨、痛み、それら全てを、抱え込んで、風魔はいつまでもおのれの体を抱きしめる事を止めなかった。
たったひとことが、みつからない。
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半蔵さんは、ちょっと怒ったのだと思います。半コタでもコタ半でもこれはこの際どっちでもいいと思われw半蔵さんは、とにかく絶対「風魔の犬」にだけは、死んだってならない人だといいと思います。
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