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MADDENING NOISE Memorandum
戦国無双&OROCHI中心二次創作文垂れ流し人の雑記帳
2025/01
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そこはかとなく3背景です。

3における半蔵とねねと小太郎の関係性を妄想しまくりシリーズです。
「それはいつものこと」と許容出来る方のみのご閲覧を賜りますようお願い申し上げます。

3千字くらいあります、ちょっと長いかな?

 

 
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みんな仲良く
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 ねねが小さな悲鳴を上げたのは、突然吹きすさんだ風のせいだ。 風には確かにどろどろと濁った瘴気が乗っていた。
 半蔵は咄嗟に背後のねねを片手で庇う。 首筋を守るしころが風にあおられはためいている。 そこから覗く髪の襟足辺りにじっとり浮かんだ汗は、この風を吹かせた男の強さを示していた。
 彼らの正面で不敵な笑みを浮かべる男、北条の忍風魔小太郎は、自らの幻術で生み出した風に紅毛をなびかせ、おのれで称する「魔」そのものの姿でそこに立っていた。

「退け、半蔵。 我はその女に用がある」
「何用」

 好戦的に応える半蔵の言葉に、風魔は口元に皮肉な笑みを浮かべた。

「おのれの女に他の男が近付くも許さぬとは、狭量な男だ」
「……」

 風魔の挑発には沈黙を返し、半蔵はねねを背後にかばったままゆっくりと立ち上がった。 同時に右手を腰に下げた鎖鎌に伸ばす。
 風に乗る瘴気が殺気に変わった。 半蔵の方も爛々とした鬼気を隠す事はしない。

「あ~~~っ!すずしいねぇ!」

 突然、男達の一色即発の空気をねねの陽気な声がさえぎった。 あまりにも場違いな言葉に風魔も半蔵も一瞬唖然と彼女を見つめる。

「梅雨だって云うのにまともに雨も降らなくてさ、むしむししてたから、びゅうっと風でも吹かないかなぁって思ってたの、ありがとう、小太郎」

 ねねは立ち上がり、彼女を庇う半蔵の背後からにこにこと風魔に話しかけた。 そうしてその場は動かぬままでちょいちょいと風魔に手招きをする。

「なっ」

 声を上げたのは半蔵である。 ねねに手招かれるまま、風魔が仏頂面で此方に近付いて来たせいだ。
 思わず鎖鎌を振りかざそうと伸ばした手に力を込めたが、それはすかさず背後からねねの手に阻まれた。

「なにを」

 再び半蔵が声を上げ、眼前まで迫った風魔はそれを見下ろして、ふん、と鼻を鳴らした。

「うろたえ者」

 ほぼ直角におのれを見下ろす風魔の挑発の言葉に、今度は半蔵も平常心を保って見せる事が出来なかったらしい。 ねねに止められた右手は諦めて、右足で風魔の足をしたたかに蹴り上げた。
 うぐっ、と風魔がくぐもった声を発し、途端に大小二人の男の足技の応酬が繰り広げられる。

「ちょ、ちょ、ちょっと、止めなさい」

 ねねが声を張り上げてみても無言の戦いは止む事がなく、止むを得ずねねは両者の間に割って入って、二人の結い上げて垂らされた後ろ髪を掴み思い切り引っ張った。

「なにをするっ」

 髪を引かれて態勢を崩しながら両者共にねねに対して苦情を述べると、掴んだ手をぱっと離してねねは笑った。

「もう、本当にあんたたちってば喧嘩ばっかり」

 両手を腰にあてて二人を見比べるねねに、即座に半蔵は言葉を返す。

「この男は敵だ」
「それは戦とか任とかの時の話でしょ?今ここに居るあたし達には関係ないじゃない」
「戯言を…」
「戯言でもなんでも、あたしは今は戦いたくないの、いい? 戦いたく、な、い、のっ!」

 右手の人差し指をピンと伸ばして振り立てながら、最後の三文字を強調する姿は、どこか子供を叱る母親の様に見える。
 こうなっては此方の理屈立った言葉は通用しないと知っている半蔵は、もうこの場を離れてしまおうとため息と共に決断した。 だが目の前にそびえる壁(比喩でも何でもない)風魔小太郎の存在が否が応でも視線に入り、この男とねねを二人きりで残すわけにもいかぬと思いなおした。

「どうした、去(い)んでも良いぞ、半蔵」

 半蔵の気配を悟って壁はニタニタと笑う。 その表情はわざとであろうが、牡の本能剥き出しの顔に見え、半蔵はまた蹴飛ばしてやりたい衝動に駆られた。

「で、何の用なの?小太郎?」

 怖い顔で半蔵を睨みつけ、彼の右足の動きを止めてから、ねねは風魔に満面の笑顔で振り返った。
 風魔も半蔵に見せた厭らしい表情を引っ込めて、優しげな顔をすると腰帯の脇に括り付けた小さな巾着を取り出した。

「先日の握り飯の礼だ」
「まあ!嬉しい!」

 巾着を受け取ってねねが中を開いてみると、磨き上げられた色とりどりの五色の宝玉が入っていた。

「きれい…」

 陽の光を浴びてきらきらと輝く宝玉をうっとりと見つめ、ねねは感嘆の言葉を洩らす。 ちらりとそれを横目で見た半蔵の顔は苦虫を噛み潰したような表情。 勿論風魔は得意気な含み笑いだ。

「ありがとう小太郎…でも、こんな素敵な物もらっちゃって、いいの?これ貰ったらどんな女の子でも大喜びするよ?好きな娘にあげた方がいいんじゃない?」

 心配そうに首を傾げるねねに、風魔はちろりと半蔵を一瞥して口を開いた。

「ではやはりうぬに受け取って貰うが一番という事に、なるな」

 ゲホン、と半蔵は咳をした。 ねねはニコニコと笑っている。

「もう本当に、小太郎は優しい子だね!」

 くったくなく笑うねねのどこかずれた感覚に、半蔵は安堵と危惧を同時に抱く。
 一体、この女はどこまで無頓着で無防備で無邪気であるのか。 礼節をわきまえた武士相手にはその屈託の無さは通用しても、日々命を晒して生きている忍びの者、ましてや目前の風魔の様に明日失くすかもしれぬおのれの命であるならば、今日欲しいと思ったものは即座に手に入れるといった性分の者相手であっては、女の貞節など通用するものでは、ない。

‘それに、これではまったく…’

 ちらりと視線を上げると、風魔の何処か苦笑めいた碧眼と目が合った。 面の下で半蔵もまた口元を緩ませる。

「ねえ、小太郎、折角来たんだからあたしのお弁当食べて行けるでしょう?半蔵って小食でいっつも残っちゃうの」

 風魔から贈られた巾着を大事そうに懐にしまうと、ねねは少し離れた所に繋いだ馬に乗せた荷物を指差した。 それに風魔が頷くと嬉しそうに荷物を取りにかけ出す。

「まこと、屈託のない女よ」

 ねねの後ろ姿を眺めながら洩らされた風魔の言葉に、半蔵はやるせない息を吐く。

「これではまったくお主も報われぬな」

 息と共に吐き出された半蔵の言葉に、風魔はぷっと噴き出して笑った。 横に並んだ大小の男が、喉を鳴らして笑っていた。 それは一見仲良さ気な姿に見えるが、はたして本質はどうなのか、それは半蔵にもわからない事だった。
 
 向こうからねねが大きな弁当を抱えて笑顔で走ってくる。

――ねえ、あたしに術を教えて、かわりに美味しいお弁当と笛の吹き方を教えて上げるから。

 そういって気乗りしないおのれを無理矢理引っ張り出したねねの強引さには正直うんざりしている半蔵であった。 だが彼女と共に過ごせば、必ず最後には今まで感じた事の無い暖かい感情を胸にひとつ持って帰る事を彼は知っている。 おそらくそれは風魔とて同じなのだろう。

「この時を…」
「うむ」

 ふと漏らした半蔵の言葉に、風魔は得心したように頷いた。

「長く楽しみたくもあり、また打ち壊したくもあり――であろう、半蔵」

 クククと喉を鳴らす風魔を見上げ、半蔵は敵でさえなければ、この男とも存外うまくやれそうな気がすると、そのような事を考える自分に呆れて、笑った。

-----
⇒end

ねねは半蔵の女だと思って居る小太郎さん。 半蔵からねねを奪う気も無いわけでない小太郎さん。 よくもそれだけ酷い感違いが出来るものだと思いつつも、お陰でなんだかねねを意識しはじめちゃってる半蔵さん。 そして、二人共可愛いくて優しい子達だね!と頼りにしつつ、甘えつつ、子飼い達とはちょっと違った愛情を注いでいるねねタン。 デフォで彼女は自分の事を母とか姉とかとしてしか認識していないので、時々半蔵と小太郎は彼女に自分が女と云う事を判らせてやろうかと凶暴な処を見せたりも、する。
半蔵と小太郎は、実は似た者同士で内面の表出の仕方が違うだけ、だから激しい同族嫌悪かそれを超えた深い友情のようなものを持つ事が出来る。
そんなこんなの筆者の脳内3設定~☆

 
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