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MADDENING NOISE Memorandum
戦国無双&OROCHI中心二次創作文垂れ流し人の雑記帳
2025/01
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半⇔ねね⇔コタ

多少ギャグちっくなのは、ねねが天然のせい。
半蔵が報われないのも同じ理由。

お暇でしたらばどうぞm(__)m

 

 
=====
報われない
=====



「いや、やだよ、半蔵」

 ねねは必死に自分にのしかかる男の胸板や顔を叩いたが、当の本人は一向に気にかける素振りもなく、彼女の唇に噛み付こうとする。
 
 ひどい酒の匂いが半蔵の体から漂っていた。
 
 酔いの勢いで彼がこのような不埒な行いに至っているという事はねねにもわかったが、だからといってそれを許容するいわれは一切ない。

「いい加減にしないと本気で怒るよ、半蔵」

 ねねの手にぎゅうぎゅうと押されて、常日頃から無表情で通している半蔵の顔が面白いように歪んでいた。

「こらぁ!はぁんっぞぉ!」

 とうとう本気で声を張り上げたねねの顔は、しかし少し楽しそうにも見える。 どこか芯の抜けた様な半蔵の酔った顔を見ていると、普段の彼との差異を感じてしまうのだ。 それが可笑しくてたまらない。
 とはいえ迫ってくるのは理性のタガの外れた男で、このままではねねの身が危ない。

――もう少し他愛のない酔い方をしてくれればいいのに。

 そうすれば半蔵の間抜け顔を肴にもうしばらくは楽しんでいられただろうとねねは思う。 思いながらもやっぱり手はぎゅうぎゅうと半蔵の顔を押し返すのに必死。

「邪魔をするな風魔」

 ねねの手をがしりと掴んで、半蔵はとうとうあらぬ事を口走り始めた。 何がどうなってここで小太郎の名前が出てくるのかがねねにはさっぱり判らない。

「あたしのこと小太郎だと思ってんのかな?」

 多分正解とは真反対の事を考えながら、ねねは彼女の手を捏ね上げようとする半蔵の手に思い切り噛みついてやった。
 うおぅ、と変な声を上げて半蔵の体がねねの上からどく。 この機を逃しては本当にまずいかもしれないと、ねねは即座に置き上がって半蔵から距離をとった。

 このまま逃げるが吉。

 そう考えて室から飛び出そうと障子に手を掛けたところだった。

「惚れておるのだ」

 彼女に咬まれた手を抑えてうずくまる半蔵が小さな声で云うのが聞こえたのだ。 それはそれは小さな声であったから聞き逃すところだったが、やはりねねも忍、聞かなくて良い音聞かねば良い言葉も訓練された耳は拾い上げてしまう。
 びくりと障子にかけた手を震わせて、ねねは大きく目を見開いた。 ゆっくりと振り返ると、うずくまったままの半蔵が綺麗な琥珀の瞳を此方に向けて熱っぽく彼女の顔を見つめていた。

「はん、ぞ?」
「これ程焦がれておるモノを…なぜおれのものにならぬのだ」
「はん…」

 普段の半蔵からは想像も出来ぬ程の熱情を孕んだ眼差しは、確かに彼女の胸を打った。 だがそのまま彼が此方にずいと近付いてきた瞬間、ねねは室から逃げ出した。 それは女としての本能的な恐怖が引き起こした反射のようなものだった。
 
 半蔵の室から飛び出して、闇に身を隠し夜の中を移動しながら、聞いてはいけない事を聞いてしまったという衝撃で彼女の胸は早鐘の様にやかましい音を立てていた。 この秘密を一体どう扱えばいいのか、ねねにはわからない。 わからなかったが、胸の奥が絞り上げられるように痛いのだ。 その痛みは当分とれる事がなく、彼女は半蔵のあの熱っぽい目を忘れる事が出来なかった。
 
 だから、
 
 数日の後、彼女は意を決して風魔の元を訪れた。

「うぬに真剣な顔は似合わぬな」

 相変わらず冷笑を口元に浮かべた表情で、風魔は彼女の頬を愛おしむように軽くつねる。 大きな青白い手を横目に、ねねは風魔の顔から眼を逸らさず口を開いた。

――――。

 ややあって、風魔とも思えぬ酷く楽しげな笑い声が彼の居室から漏れ聞こえて来た。
 その横でねねは怒った顔をして、声を荒げている。

「小太郎!なんでそんなに笑うの!?ちょっとは真剣に受け止めてあげなさいっ!」
「くっくっ・・・ぶははははははっ・・・な、なにをだっ、」
「半蔵はあんたの事が好きなんだよ?本当に本当に、もの凄く真剣だったんだからっ」
「いわっ、云われたのは・・くくくっ・・・うぬで、あ、あろう、がっ」
「だからそれは酔っぱらってて、あたしの事をあんただって勘違いしてたんだってば」
「ほ、ほんにうぬは・・・」

 不意に風魔の顔が真剣さを見せて、ねねは内心どきりとする。

「な、なによ」
「・・・いや、ともあれ半蔵が我を好きだと云う事はあるまい」
「だって」
「我であろうが誰であろうが、あの男が男に惚れる事は断じてあるまいよ」
「そう、なの?・・・じゃあ一体誰と勘違いしちゃったのかなぁ」

 しきりに首を傾げるねねを呆れたように見おろして、風魔は大きく溜息をついた。

「ほんにうぬは、罪つくり、これでは半蔵も報われまい」

 まるで阿呆の童を見る様な視線に気付いて、ねねは立ち上がって「こら」とほほを膨らませると、風魔の紅毛溢れる頭をぺちりとひとつ叩いたのだった。


-----
⇒end

多分半蔵は酔っぱらって居ても記憶までは失くさないw だから自分が何を口走ったのかもしっかり覚えてて「ねねに告っちまったぁぁぁぁ」ともの凄い自己嫌悪に陥っている。 後日風魔が現れて、ねねが一切自分の事だと思って居ないという事実と、半蔵が風魔に告ったと勘違いしていた事を聞かされて、もう舌を噛み切って死んでやろうかとか真剣に考えてればいいと思う。

 
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