忍者ブログ
MADDENING NOISE Memorandum
戦国無双&OROCHI中心二次創作文垂れ流し人の雑記帳
2025/01
< 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 >
カテゴリー
拍手御礼(157)| 半コタ半(SSS)(28)| くの受(SSS)(3)| ねね受(SSS)(16)| その他(SSS)(12)| 妄想・雑記(286)| 頂き物(24)| 絵付き(19)| バトン(18)| お祝絵(2)| その他(8)| 絵チャ(9)|

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

web拍手

 

お久しぶりです。
コタねねSSS書きました。
出来立てほやほやの雰囲気文。

新緑の季節だから恋して欲しい←意味不明

というか、とにかくなんか書かないとと思って…ハァハァ

ということで、以下コタねね

 

 
----------
厄日(コタねね)
----------


 
 彼女はゆるりと手を上げると、こっちにおいで、とそれを振った。
 ひらり、ひらり、白い手が手招きする。何故にそう気安いのか…不満気な息をひとつ吐いてみても、彼女の動きが止まる事はない。
 おいで、おいで、と揺れる手に根負けして風魔は重い足を前にすすめた、彼女の元へ――

「どうしてあんたは、自分の事を大切にしないの?」

 黙って云うとおりにしてやったのに、頬を膨らませて怒った様に言う女に、風魔はたちまちに機嫌を悪くして、彼女に背を向けたが、途端に舌打ちと共に動きを止める。
 彼女に腕をとられたからだ。苛々と見下ろせば、白い手は、風魔の腕を真っ赤に染め上げる原因たる刀傷を、強い力で掴んでいた。

「離せ」
「痛い?」
「離せ」
「少しは自分を大切にして」
「離さぬか」
「手当てくらいさせなさい!」

 大きな声で怒鳴られて、風魔は本当にへそを曲げてしまった。だが、振り返って見た彼女の顔に、怒鳴り返してやろうと開いた口も閉じてしまう。

「――泣くな」

 長い沈黙の後、風魔はようようそれだけを言った。
 のみならず、彼女が手当てをしやすいようにその場に腰まで降ろしたのだ。
 
 だのに彼女と来たら、酷く乱暴に手当てをするものだから、彼は何度も苦情を申し立て、その度に馬鹿!と涙声で怒られて――
 風魔は「全くもって今日は厄日だ」と彼女に聞かれぬ様に口の中で小さく呟いたのだった。

-----

「ねね」
「なあに、小太郎」
「もういい加減、我に付きまとうのはよせ」
「あんたが自分を大切に出来る様になるまでは、絶対にあたしあんたの傍を離れないから!」

 彼女の言葉が晴れた空に吸い込まれていく。黒曜の石の様な瞳は陽の光を浴びてきらきらと輝いている。
 この女がおのれに付きまとう限り、おのれは決して闇にも魔にも染まる事は出来ないだろうと考えて、風魔は果たしておのれは一体、彼女と離れた方が良いのか離れぬ方が良いのか、どちらを望んでいるのか判らなくなって、二、三度ゆるく頭を振った。

「下らぬ」

 そうして一言呟いて、風魔は彼女の前から姿を消す。背後から彼女が追いかけてくる気配を感じながら、風魔は腕に巻かれた真新しいさらしちらりと見た。きゅっと結んだ結び目から、少し長めに布が伸びていた。風魔の体の動きに合わせてそれはゆるりと揺れている。
 
 ひら、ひら、ひら、白いそれが揺れる様は、彼女の手を思い出させた。
 
 風魔は何度目かのため息をつく。

「下らぬ」

 言い聞かせる様にそう言って、後はもう何も考えずに走った。

-----
⇒end

 
PR
web拍手

 

カレンダー
12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新記事
ブログ内検索
アーカイブ
カウンター
忍者ブログ [PR]