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MADDENING NOISE Memorandum
戦国無双&OROCHI中心二次創作文垂れ流し人の雑記帳
2025/01
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氏康さんと風魔さんのお話。
×ではありません、あくまで「+」なイメージです。

二人は仲の良い友人に限りなく近い主従だったら良いと思います。
百題の066. 表裏一体を受けてますが続きの話ではありません。

お暇でしたらば、どうぞm(__)m 

 


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祈る様に舞う
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 それはまあ、結構過酷な戦場だった。 だがそれっくらいの戦いならザラだ。 なんにしても俺はいつだって前線に飛び出す口だから、気が付けば戦いは過酷。 後詰めでのんびり高見の見物ってぇのは性にあわねぇんだから仕方ないだろう。 そんでまぁ、その日も過酷な戦場の過酷な前線で、あの野郎が実に楽しそうに戦っている姿を見ちまったってわけだ。
 あのでかぶつ、北条の闇の主であるところの風魔小太郎は、人離れした体躯を実に見事に動かしてまるで舞う様に戦って居た。 今までも何度もあれの戦いぶりは見て来たが、今日はまた一段と凄まじい。 大体あれが陽の元に姿を現して戦っているって事が、今度の戦の危うさを現わしているって訳なんだが、どうやら兵達の働きと何より風魔の働きのお陰でカタは付きそうな雰囲気になってきた。 しかしまあ、本当に今日の風魔は凄まじい程に、なんて云って良いのか、もの凄く――

「何をしている、氏康」
「あぁ?あぁ、うん」

 ぼんやりと奴を見ていたらその姿が段々と大きくなって、ありゃこりゃおかしいなと思ってみたが、なんて事はない、奴が周りの敵を皆殺しておいて、自分を見つめる俺に気付いて近付いて来たとそれだけだったんだが、俺にしてみりゃなんてーか、絵を眺めてでもいるつもりだったところに急に声をかけられたもんだからびっくりした。 阿呆の様にもごもごと返事をする俺を風魔は呆れたように見おろしている。 不覚だ、不覚。 だがお陰ではっきりと気付いた。 戦場で舞うがごとく人を屠る奴の姿を、俺は一枚絵のように美しいもんだとそう思ってしまったんだ。
 異形の体躯も青白い肌も、躯の動きにつれて見事にひるがえる紅い髪の一筋一筋に至るまで、本当に目に焼き付けたい程美しかった。 人の命を奪う行為を美しいなんぞ思う趣味は俺には無いが、こいつのそれだけは別格だ。 こいつの戦いは祈りに似ている。 舞いは元来神に捧げる祈りなのだとか聞いた事があるが、こいつの戦いにはそういった感情を思い起こさせる何かがあるのだろう。 してみるとこいつが殺した命は神に対する供物って事になるのかもしれない。

「何を祈ってるんだ、おめぇはよ」
「は?どうしたうぬ、頭でも打ったか」

 …だろうな、予想通りの反応だ。 俺が云われたとしてもそう云うだろうなという答えに俺は満足して、腹いせに益々風魔が頓狂な顔をする言葉を吐いてやった。

「戦っているお前はもの凄く綺麗に見えたぜ」
「はぁ?何を云っている」
「よぉ、今宵の夜伽を俺が命じたら、お前ぇどうするんだ?」
「……」

 珍しいものを見た。 もの凄く珍しいものだ。 あの風魔小太郎がその顔にありありと『憐れみ』の表情を浮かべ『同情』を示すため息をつくと、もの凄く『優しい声』で俺の名を囁いたのだ。

「なんだ、喜んで夜伽つかまつるとか云い出すのか?」

 にやにやと笑う俺の頭をガシリと大きな手で掴むと、風魔はそのまま……あろうことかそのまま奴の主たる俺を投げ飛ばしやがった。

「頭のうちどころでも悪かったのだろうと一度は許すが、命が惜しくなければもう一度同じ事を我に云うて見るが良い」

 地べたに這いつくばって尻を抑える俺の頭上から風魔らしい冷たい声が聞こえて来て、俺は思わず吹き出しちまう。 こりゃあ冗談がきつかったらしい。 おそるおそる頭上を仰げばそれはそれはいつも見慣れた鬼の様に怖ろしい顔。 俺はすかさず「冗談でしたすんません」と頭を下げた。
 奴はいつもの冷笑を口元に浮かべ、嘲る様に息を吐くと「口は慎め」と捨て台詞ひとつでその場から消えた。

「まったくだ」

 俺も心から同意して膝の土を払って立ち上がった。
 
 ぐるり周囲を見渡せば荒れ果てた大地に無数の骸…ああ、そうだ此処は戦場だと思い出した。 この骸の大半が風魔が屠った神への供物。 一体どれほどの命を屠れば俺らの願いは神に届くんだろうな、なぁ風魔。

 俺は空を仰いでさっきの奴の舞いを思い出す。

 願わくば――
 願わくば奴の祈りが天に届きますように。 あわれな異形のあの男の願いがいつか叶いますように。
 
 全くもって俺には似合わない思いで碧い空を見つめながら、それでも俺は願う事を止められなかった。

 あの痛烈に孤独な魂がいつか誰かによって癒されますように――と。

-----
⇒end

氏康と風魔は対等な友人であればいいとか思って居ます今のところ(w

 
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