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MADDENING NOISE Memorandum
戦国無双&OROCHI中心二次創作文垂れ流し人の雑記帳
2025/01
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長かったシルバーウィーク(遠い目)
仕事だけならなんとかなったと思うんだけど、オフ活動もフル稼働だったもんだから、もうおれ死ぬorz
妄想の暇も無かった・・・心が枯れるよ・・・

久し振りにお絵描きチャットに潜ってひらめいたので書いた。

オリキャラ梓紗姐さん登場だけど、あ、これ夢にしとけばよかった(遠い目)

半蔵×娼妓

ノーマルなお話。

 


 しっとりと湿り気を帯びた物静かな夜であった。

 馴染みの娼妓(おんな)の白いきめ細かな肌をなぞる半蔵の骨ばった指先を、女の手がやわりと絡め取る。

「ねえ、半蔵さま」

 柔らかい女の手の中では、半蔵の武骨な手は浅黒く随分骨ばって見えた。 指先にも掌にも、幼い頃からの鍛錬で付いた沢山の傷が付いている。 その傷を優しくなぞりながら、女は言葉を続けた。

「もしあたしが…」

 半蔵がこの女の元に通い始めたのはもう一年(ひととせ)も前からになろうか。 体が合ったのか心が合ったのか、滅多に同じ娼妓の元に通わぬ半蔵がこれの元には何ゆえか通い、おのれの名も身の上も嘘偽りなく語っていた。

「もしあたしが、徳川様の命を狙った刺客だとしたら、やっぱり貴方はあたしを殺す?」

 下らぬ問いを吐き出した女の赤い唇が震えているのを半蔵の琥珀の瞳は捕らえたかどうか……

 長いまつげに隠された伏し目がちの女の瞳の奥の光を覗き込むようにした半蔵の口元は緩く笑みを刻んでいた。

「どうなんです?」

 おのれの貌を覗き込む男と視線を合わせず問いを繰り返す女の震える唇は、半蔵のそれによって優しく塞がれる。

 なんの答えも返されぬまま中断されていた行為がなされ、女はひと時おのれの問いを忘れた。

 濃密な、しかし半蔵が訪れるいつもの夜と変わらぬ時が過ぎた。

 これもまた常と変らず、夜明けを待たずに衣服を整え去ろうとする男の背を見つめ、声すら掛けられず爪を噛む女に、半蔵は背を向けたまま言葉を発した。

「おれに飽いたなら、そう云え」

 女は息を呑んだ。 下らぬ問いを放った真意はそうではない。 そうではないが、そうであっても何ら差し支えない。 しかし……

「あたしは…ただ……」

 涙がこぼれそうになるのを必死でこらえる声は震えている。
 半蔵は振り返りもせず少し頭を下げて、右手をおのれの首筋に当てると、やわりと揉むように動かした。

「もし、お前が主の命を狙う刺客であったなら…勿論滅する……だが」
「……」
「それに気付けなんだ責を負うて、おれも共に死のう」
「はんぞう、さ、ま」

 思いもしなかった答えに女の瞳は大きく見開いた。 やはり背を向けたままの半蔵は、困ったように首を何度も右に左にと傾けて、最後に首筋に当てた手で頭を掻いた。

「それともいっそ…」
「いっそ?」
「お前が良ければだが、共に逃げるか」
「あん、た…」
「いやだが、飽きられたのならそれも出来ぬか…だがみすみす目の前で主を滅されるわけにもいかぬし…お前がおれを屠れるほどの腕ならば問題はないが、その細腕相手に負ける気はせぬし…いや、どうも…」

 くるり、と半蔵が女の方に向き直った。 その貌がどんな表情を刻んでいるのか、女にはもう良く見えはしなかった。 女の瞳にいっぱいに溜まった涙が、視界を邪魔して暗い部屋の中、元々表情の乏しい男の貌など見えるわけがない。

「すまぬ」

 女の涙などお構いなしで、半蔵は床に膝をつき頭を下げた。

「生きる法を探すのが心底苦手だ。 もしお前が刺客であったとして、二人共に生きる道が見いだせぬ。 その時は、せめて共に死のうとしか…」

 もう無理だと、女は思った。

 元より通って来る半蔵の事を憎からず思っていた女だった。 今日は来るか明日は来るか…待つ事に慣れた身だとはいえ、心底来て欲しいと願った男は半蔵が初めてであった。
 訪れなければ悔し涙を流し、或いは任に失敗して死んでしまったのではないかと身も震えた。 訪れれば訪れたで、また逢えなくなる事がおそろしくて仕方なかった。
 このまま思いを募らせながら待ち続ける事を恐れるあまり、次に逢ったら必ず男の呆れる事を言おうと決めていたのだ。
 呆れられて、嫌がられて、そうして通う事を止めて貰えれば、もうこの人は死んだのだと、いっそその方が余程楽に生きて行くことが出来るのではないかと、女はそう思っていた。

 だが、もう無理だと女は思う。 金で身を売る娼妓だとはいえ、心までは誰にも売ったつもりはない。 その心がそう命ずるのだ。 この男を諦めるなと。

(だって、あたしもうこの人に心底惚れてしまったんだから)

 目の前でおのれを見つめる半蔵の胸に取りすがって女は声を上げて泣いた。

「おい、どうした、おい、」

 困った様におのれの背をさすってくれる半蔵の胸にしがみついて、女は泣いて笑ってまた泣いた。

「あたしをあんたの女にしてくれなきゃ、泣き止まないから」

 しゃくり上げながらようようそう言った女の言葉に、半蔵はまた困った声で首を傾げながら、

「おれに飽きたのではなかったのか?」

 おれはもうお前に捨てられるのだとばかり…続けてぼやく声に、なんでそんな風に思ったのかと問えば、

「お前の様なモノの良く判った女が、あのような埒の無い問いをしてくるのは、おれにもう通って欲しくないからだと思うた。 つまり、飽きたという事かと…」
「ばか、あたしがどんな思いで…」
「うむ、すまぬ。 おれはまたしくじった」
「ばか…」

 床の上でしっかりと抱き合いながら、二人はくすくすと笑った。 互いに初めて客と娼妓ではなく、ただの男と女として向き合っていると感じていた。

「では、その」

 言いにくそうに半蔵が口を開く。 いや、それは言いにくそうにでも困った風でもないのだと女は気付いていた。 この男は今、照れているのだと女には判ったのだ。

「その、実は随分前からお前の為に家を用意しておったのだ……その、身請けさせてはくれまいか…梓紗」

 初めて女の名を気恥ずかしそうに口にして、すぐに女の肩口に貌をうずめた男に、呆れた笑みをこぼし、小さく頷いて、力いっぱいその背を抱き締めた女であった。

-----
⇒end

 気が回るけどマイナス思考なのは相変わらずの半蔵さん。 私の中ではやっぱりそういう男イメージ。 あんまり惚れてない相手には凄く事務的で冷徹な人だけど、惚れるとデレデレで臆病でさっぱりとした良い男を演じないと嫌われるんじゃないかとビクビクしている…ああ、そんな人だったらいいなぁ~~~相変わらず妄想&願望全開だ~(笑)

 
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